顧問・推薦

顧問 : 廣田 誼 ごあいさつ

日本浮腫緩和療法協会の顧問に就任して

札幌でみつわ整形外科クリニックの理事長をしている廣田 誼と申します。 この度、日本浮腫緩和療法協会の顧問にさせていただきました。

整形外科医師が浮腫に携わることに首をかしげる方も多いと思います。私がなぜ、浮腫に興味を持ったか簡単にご説明させていただきます。

廣田 誼

私は整形外科医師として40年近く臨床に携わってまいりましたが、外傷や、手術後に腫れの引きにくい患者さんを何人も診察してきました。腫れに対しては、高挙、冷罨法、圧迫が推奨されております。
その様な方法で順調に改善する患者さんも多いのですが、中には腫れが持続して患者さんを苦しめることもありました。又、膝の悪い患者さんの下肢が明らかに浮腫んでいて、治療を求められることもありましたが、内科で相談するように伝えるしか方法がありませんでした。
結局、その患者さんの下肢は浮腫んだままでした。数年前に手術をすることを辞めてから、浮腫に関して本気で取り組みたいと言う気持ちになりました。

丁度その頃、偶然に日本浮腫緩和療法協会で治療手技のセミナーがある事を知り連絡をいたしました。大塚理事長から直接返事が来て、ドイツではTKAの術後や外傷後にもリンパ浮腫の治療法である複合的理学療法を取り入れているので、是非勉強して下さいと言う励ましをいただきました。入門から上級までなんとか終了して、座学の講義も受けました。浮腫とは間質中に水と蛋白が異常に貯留した状態である事も知りました。

ところで、整形外科でよく見られる腫れと浮腫の違いはなんでしょうか。

皮膚がつまめるか、pitting edemaがあるか無いかなどで鑑別することになっておりますが、元々は炎症でも血管の透過性が更新した段階で、組織学的には浮腫は生じています。炎症は時にはオーバシュートして、リンパ管の流れや静脈還流に問題がある場合には臨床的な浮腫として持続することになります。
その様なことを考慮すると、整形外科医師も浮腫に関する知識が必要だと考えます。私たち整形外科医師は高挙や圧迫が良いことは知っていますが、圧迫に関しては、弾力包帯で適当に圧迫するだけで、適切な圧迫圧や、圧勾配と言うものは知りませんでした。

高血圧の薬の中には浮腫を生じさせるものがあることや、婦人科的な手術を経験している患者さんの中には、整形外科的な手術がリンパ浮腫を誘発することを良く知りませんでした。又、癌の手術後のリンパ浮腫そのものに対しても整形外科的な治療と併用でリハビリの中で治療が行えるものもあることを知りました。

リンパ浮腫の治療に関しては、色々な問題があり、私にとっては、暗中模索の状態ですが、これから少しでもお役に立つ様に努力したいと思っております。

日本浮腫緩和療法協会とみつわ整形外科クリニックの絆は、ますます太く

最後に、日本リンパ浮腫学会の理事長の廣田 彰男先生は北大医学部教養課程の同級生でした。私は1年間留年して、廣田先生は卒業してすぐにリンパの勉強のために東京の大学に行かれたので、半世紀の間、音信不通でした。先日大塚理事長の紹介で廣田先生と電話でお話する機会がありました。先生はリンパ学で大成されてリンパの王御所となっており東京で開業しております。たくさん本も書いておられます。私の様な者が日本浮腫緩和療法協会の顧問に就任することは大変恐れ多いことで、役立たずに終わる可能性もありますが、浮腫に対しては誠心誠意取り組んでいきたいと思います。

医療法人社団 みつわ整形外科クリニック
廣田 誼

推薦:廣田彰男 先生

リンパ浮腫”むくみ”の名医として有名な廣田彰男先生より推薦を賜りました

リンパ浮腫”むくみ”の名医として知られ、全国各地からリンパ浮腫に悩む患者が「廣田内科クリニック」を訪れています。

日本リンパ学会理事、日本脈管学会評議員、日本静脈学会評議員ほか役職多数

廣田彰男
廣田彰男先生

医療における浮腫の位置づけはきわめて曖昧である。

浮腫自体が治療の対象となることは少なく、多くの場合、大きな疾患のひとつの症状として捉えられる。
たとえば、腎疾患では腎機能低下、心疾患では心不全が問題であって、浮腫自体の治療を行うわけではない。 浮腫自体が治療の対象となる代表的な疾患はリンパ浮腫である。

しかし、リンパ浮腫自体、その多くが乳癌や子宮癌などの術後の後遺症として発症するものであって、患者さん自身にとっては原疾患が優先する。癌末期の緩和ケアや高齢者における浮腫も、それ自体が治療の対象ではなく、あくまでQOLの問題である。
このように、浮腫はあくまで主役ではなく脇役である。

そのため、浮腫治療自体が医療の前面に立つことはなかったが、2008年リンパ浮腫における弾性着衣の保険適用以後、浮腫を含めた医療が医療者に関心を持たれるようになった。
しかし、脇役であるため、これまで医学教育では十分に取り上げられてきたとは言い難く、後者の幅広い浮腫がリンパ浮腫として誤診され、必要以上の誤った治療をなされてしまっていることが多い現状があると言っても過言ではない。

広く浮腫全般の教育を内容とする日本浮腫緩和療法協会が発足した。これまで、リンパ浮腫診療を主体として対応した養成校は存在するが、より幅広く緩和ケアなどに見られる廃用性浮腫を明確に分けて対応する養成校はないと思われる。
臨床の場では、この二者の違いを理解した上で対処することは極めて重要であり、本協会の養成コースに大きく期待するものである。

医療法人社団廣田内科クリニック
廣田彰男